2007年9月16日日曜日

冥土喫茶

 人生初、秋葉原はメイド喫茶へ行ってきた。以前行ったときは混みすぎていて諦めたので、再挑戦。

 店の外階段まで続いていた列。メイドさん写真入りうちわとか持っているコアな方々に混じって並んでいたら、整理番号札を持ってやってきたメイドさん一名。
 一度は生で聞いてみたかったあの台詞、"おかえりなさいませご主人さま"を発音した。
「おかえりなさいませご主人さま。何名様ですか?」
 軽くスルーして友人に返答してもらった。
"お帰り料500円"の表示に、帰るのに金をとるって金なかったら帰れないってこと? などと考えていたのだが、これは"入店することがお帰り"という意味での席料のようだ。帰るときは"ご出発"。メイドの世界はややこしい。
 そしていよいよ入店すると、店内には沢山のミニスカメイドさんがいて、いっせいに、「おかえりなさいませ! ご主人さま!」
 ここで笑ったら人道に悖る気がしたので噛み殺すのだが鷹揚に「ただいま」と返す器用さも生憎なし。噛み殺したままなんとなく憮然とした面持ちになるのを自覚していやいやそれはと笑顔を浮かべる、極めて複雑な精神状態にて進入。これはつらい。
 カウンター席につき、まずはメニューを注文する。
 勇者の友人が言った。
「じゃあ、紅茶とふんわりショコラのくまたんケーキのセットを」
 僕ともう一人は言った。
では、まったく同じセットを
「(メニューを指し)紅茶とこれのセットで
 僕等は腑抜けだった。
 そも発話自体がしにくいのだ。メイドとご主人様、という関係上、丁寧語を使ってはなんか雰囲気を壊していけないと気にかけ、言語中枢が混乱をきたす。丁寧語で喋っていて、「みんなもう丁寧語やめようよー」とリア充が言った後に無言の人となるのと似たような構図だ。
 飲み物が運ばれてきた。アイスティー。
「クリームとシロップはどうなさいますか? ご主人さま」と、ボックスの中のクリームとシロップを掴みながらメイドさん。
「一つずつで」
「承知いたしました」
 と、クリームとシロップを一つずつくれ……るのではなく、蓋をめくり、ティーに投下し始めるメイドさん。
 ストローを指し込み、円運動に上下運動をとりまぜた、極めてゆったりとした動きでかきまぜる。
「お待たせいたしました。……ご主人さまは、クリームとシロップどうなさいますか」
 駄目だ。耐えられない。助けてくれ。
 僕はこのかき混ぜている最中の沈黙が耐えられない。
 三度のかき混ぜの後、さて、とメイドさん。
「これから紅茶をもっと美味しくするために、魔法をかけたいと思います」
「……はぁ」
「ご主人さまたちも一緒にやってください。いいですか。まず手をこうやってグーにして体の前でこうやって振りながら、萌えーーーーーーーーとエネルギーを溜めて、こうやって手をハー


 お楽しみ会、と称されるものが始まった。
 メイド喫茶の料金は、ほとんど人件費、サービス料なのだろう。ただ飲むだけでなく、催しをやるのだ。
 壇上に上がったメイドさんが、
「それでは、萌え萌えジャンケンをやりたいと思いまーす! いいですかー。振り付けを練習しますよー。まずこうやって手を丸めて体の前で左右に振りまーす。それから身体の前でグーをこうちょんちょんやって猫さんでーす。次はチョキでかにさん。頭の上でパーをやってうさぎさーん!」
 ちらりと友人のうさぎさんを見たが、どう見ても銃を向けられて手を挙げた人にしか見えない。
「はいそれでは本番いきますよー! 最後まで勝ったご主人さまには、なんと! この萌え萌えコインを差し上げまーす! はい、萌 え 萌 え ジャンケン ジャンケン ポン!」
 メイドさんチョキ。
 僕パー。友人一人チョキ。敗退。
 もう一人の友人、グー。勝者、席を立ち、こちらを見下ろして曰く、 
「……負けたい」
「勝つんだ」
「勝て」
 二回戦は彼の祈りが通じ敗退。残念。
 決勝戦は直接対決となり、壇上に上がったオタクっぽい男性と観光っぽい女性2名。
「決勝戦はあいこは負けになりませーん。あいこになったら、"あいこで萌え!"で続きまーす」
 勝者は女性。
 お嬢様の萌えるものはなんですかーと訊かれる公開処刑に、「りらっくま」と答えて無事終了。
 うん。オタクっぽい人勝たなくて良かったよね空気的に。

 その後、メイドからアイドルデビューしたグループの歌の時間。なんか、踊ってました。
 終わるとようやくケーキが運ばれてくる。
 なんてチープなケーキ。顔かいてジャムでハートマーク付ければ許されるとか思ってんじゃねぇぞ!
「それではケーキをさらに美味しくするために、魔法をかけたいと思います。まずエネルギーを溜めるために手をこうやって、萌


 ということで帰宅。もとい、ご出発。
 まぁ、なんというか。

 疲弊。

5 件のコメント:

  1. なんという気まずい空間。
    冥土喫茶というタイトルがしっくりくる。

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  2. zonru改め Odio-z2007年9月16日 19:43

    こんなにも濃い冥土喫茶には行ったことないなぁ……。
    というか真性オタの俺からしてもあれは無理があると思います。あそこにはまっているのは、オタクはオタクでも「アイドルオタク」の部類の人だけだと思います。
    僕はやっぱり二次元がいいです。

    ……名前変えて早々の書き込みがこんなんとか、なんかすいません。('A`)あとお疲れ様です。

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  3. その気まずさを是非とも体験したいと思ってるんだけど、福岡にはそこまで濃いメイド喫茶がないらしいんだよねぇ……。

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  4. 今のメイドさんはそんなにやる気あるのか・・・
    前に行ったことあるけどただのコスプレ喫茶って感じだったなあ

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  5. 確かにオタクはオタクでもアイドルオタクだよねぇ。
    モー娘。的な雰囲気があった。

    研究室の同期的には、文化祭の出し物みたいだった、とのこと。
    確かに、全体的にチャチくて、高級感とかなかったなぁ。メイドさんは高級清廉であってほしいのにっ。

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