2008年1月16日水曜日

沈黙は金 雄弁は銀

『沈黙は金 雄弁は銀』という諺がある。「沈黙の方が雄弁よりも説得力がある。口をきかないことが最上の分別である」といった意味で知られている。
 合コンや初対面の人と話す場など、話題がなく沈黙していることが多い僕である。自己正当化をはかれて便利そうだなと思ったので、詳しく検索していた。
 すると、次のような記事が沢山ヒットした。

『この諺は古代ギリシアの雄弁家デモステネスが言ったのが由来で、その時代には銀の方が金よりも価値があった。つまりこの諺は、正しくは、銀である雄弁の方が価値があるといったものなのだ』

 なるほどなー、と思った。
 よく知られた諺が実は逆の意味だった。テレビの学習番組とかでありそうなネタだ。
 自己正当化はかれなくて僕涙目。

 しかしさらに検索していくと、次のような記事がヒットした。

『デモステネスが起源というのは日本だけで言われているまったく無根拠なことで、いろんな言語の諺の中で似たようなものがあるが、確認されている中で初出のものは1830年ドイツのものである。この頃はもちろん金の方が銀より価値があった。というより銀が金より価値があったのは紀元前十数世紀の一時代だけである』

 ……どっちやねん。

 ということで、ちょっと調べただけだったのに、真偽を検証するハメに。
 で、まぁ、後者の方が信憑性があると判断しました。検索で英語のWebページに"Demosthenes"と"silence is gold"が共起するものがほとんどないことと、ヨーロッパの学会の論文など。
 こういうことがあるから、他所から得た知識を披露するというのには不安があるのだ。みんな考えたり調べたりするの面倒だから、適当なソースをほいほい信用するからだ。恋人がいると幸せだとかいうあの話だって、ソースが信用ならないし、デマである可能性が大きいと思う。騙されやすいのだ世間は。まったくどうしようもないと思う。

 にしてもこの知識、仕入れても、披露するのが難しそうだよなあ。結局一般的な意味と同じなんだから、意外性がないし。
 あるとすれば、みんなで談笑してるときにふと諺の話になったりして、
「なあ、沈黙は金って諺さー。あれ、ほんとは沈黙の方がいいって意味じゃないんだぜ? 昔は銀の方が価値があったんだよな。あれは本当は雄弁の方がいいって意味なんだよ」
 とか得意げに披露する奴がいたときなんだが、
「えーそうなんだー! 知らなかったー!」
「すごーい! まったく逆になっちゃったんだねー!」
「うんうん、やっぱり雄弁の方がいいよねー!」
 とか場が盛り上がってるところで、おずおずと手をあげ、
「いやそれは実はデマなんだけど」
 とかぶっちゃけられるほど僕はKYじゃない。
 物凄く言いたい気持ちを抑えながら、盛り上がるみんなを遠巻きに見守るしかない。

 そうしてきっと、思うだろうな。

 まさに、沈黙は金。

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