2011年9月5日月曜日

電話番号暗記帳

 暗記している電話番号が4つある。

 自分の携帯の番号と、
 実家の固定電話の番号と、
 別れた彼女の携帯の番号と、
 別れた彼女が買い換えた携帯の番号、の4つだ。

 後ろの2つにとても困っている。


 もちろん、付き合っていた当時の携帯に、番号を保存する機能がなかったわけではない。当然あった。
 けれども当時高校生のガキのことであり、恋に恋した面もあった元カノさんは、「私の番号を暗記していつも諳んじられるようにしておけ」と僕を脅した。
 結果、僕は鎌倉幕府とか平安京的なノリで、二つの番号を覚えさせられた。
 別れたあともその番号は、1192とか794と同じように、頭の中に記憶されたままだ。

 困るのは、自分の連絡先を言ったり書いたりするときである。ウェブサイトで会員登録したり、カードに申し込んだり、TSUTAYAで会員証の更新をしたり、図書館のカードに書いたり……連絡先を記入する機会というのは多い。
 そんなとき、やってしまいそうになるのだ。うっかりすると。
 自分のじゃない連絡先が、つい。ぽろっと。

 実家の固定電話の番号は、脳ミソの中でしっかりと区別がついている。番号と、『実家の』っていうタグ付けが完全に紐づいている。これは市外局番のせいかもしれないし、数字列を素のまま記憶しているためかもしれない。
 携帯の番号の方は、全部090で始まって個性がないのもあるし、脳ミソの中での記憶の仕方も、それこそ『イイクニ』みたいに音素で覚えて、そこから数字に変換する覚え方をしている。ざっくりと言えば、年号は覚えてるけど何があったのかは「1192作ろう鎌倉幕府!」ってフルセンテンスで言ってみないとわからないよ! って、そんな感じになってしまっている。

 結果、ご連絡先は? と訊かれたときに、咄嗟に思い浮かぶ音素列が、自分の番号か否か――ちょっと落ち着いて考えないと自信が持てないという、悲しいことになってしまった。


 忘れられれば良いのだが、そのためには思い出さないことが必要だ。でも自分の番号を告げるときに、自分の番号だと確信するために、3つの携帯番号を順に思い出し、「うん、これじゃなくこれじゃなく、これで間違いない!」という確認作業をいつもしているために、一向に記憶が風化しない。
 実際問題として困るし、昔の彼女を忘れられない奴……みたいな感じになってしまってよろしくない。


 いっそのこと気にすんのやめようかなぁ。頭の中で確認せずに、間違っちゃっても別に俺困らないし。

 ……といかがわしいサイトの会員登録連絡先欄にカーソルをあてながら思う今日この頃である。