2013年8月10日土曜日

名前をつけよう

 小説のキャラの名前を考えるのは苦労する。

 真面目に考えるときは、「男の子 名前」とか「女の子 名前」でググって最上位にくる「人気の名前ベスト1000」という名前サイトから選んで決める。リストの上からざーっと見ていき、字面と響きを踏まえ、ときどき叫んだりする。
 とりあえずで決めちゃえ、というときは、適当にその場で頭に浮かんだ名前をつける。僕のなかで「カッコイイっぽい名前」とか「フツーっぽい名前」とか「ダメっぽい名前」とかのイメージで、なんとなく持ってる貧弱データベースから取り出すのだ。
 たとえばカッコイイキャラなら「快人」とか、フツーっぽいキャラなら「孝宏」とか、ダメっぽいキャラなら「太郎」とかだ。別に孝宏と太郎にケンカは売ってないので許してほしい。


 困るのが自分の名前や知人の名前の扱いだ。
 使いたくても、使いにくい。
 たとえば、僕が小説のキャラ名に「大輔」を使ったとしよう。万が一、カッコイイ主人公キャラにこの名前を使ってしまったりしたら、僕の本名が「大輔」だと知っている人は、どう思うだろうか。

(ああ……あいつ、リアルと真逆な、カッコイイ系キャラになりたい願望があったんだなぁ。……もう三十路のくせに)

 と思われないか、気が気じゃなくなってしまう。
 そんなつもりはないのだ。別に、今更カッコイイ系キャラになりたいだなんて思っていない。僕は僕のパーソナリティをそこそこ気に入っているのだ。別にカッコイイ系の主人公系キャラに憧れたりだなんて、そんなことはない。
 カッコイイ主人公キャラに限らずだ。たとえば、普段は目立たないんだけど、みんながピンチのときには地味に活躍するようなキャラに、「大輔」を使ったとする。その場合も、

(ああ……こいつ、普段目立たないというリアルの自分特性で感情移入をしつつ、自分だって物語の一員として地味に活躍できるんだぞ、っていう満足感を得たかったのか。……もう三十路のくせに)

 と思われないか、とても不安だ。
 そんなつもりでもないのだ。目立たないし別に活躍もしないけど、僕は僕のそうした人生をそこそこ気に入っているのだ。地味活躍系のサブキャラに憧れたりだなんて、そんなことはない。
 じゃあもう、どうしようもないダメキャラとかモブとかに使うしかないか。

(ああ……こいつ、もう扱い最悪でもいいから目立ちたいんだな。友達いなくて、人生に展望も見えなくて、もうパシリでいいから少しでも誰かの注目を浴びたいって感じなのかな。……三十路にして悲惨な末路だな)

 どうせ悲惨な三十路だよ。


 だから僕はキャラの名前に「大輔」を使わないし、「輔」も使わない。よくある名前だけど、僕の小説界では封印された名前なのである。

 これと同じことが、友人の名前にもいえる。ただし、こちらは関係性によっても異なるところだ。僕の小説を読む可能性のある人の名前は使えないが、読まねぇだろって人ならむしろ積極的に使うこともある。
 中学の頃、古畑任三郎の二次創作SSを書いたことがあったのだが、クラスメイトの森田くんがテニス部同期の萩くんを殺害して古畑に追い詰められる話を書いた。あとクラスメイトの佃さんが、佃さんに片思いしてた柳沢くんをうざいから殺して、古畑に追い詰められる話も書いた。四人から苦情がきた。柳沢くんには殴られたような気もする。

 昔の恋人の名前とかも、封印されている。
 結構使ってみたいんだが、これはパルプンテに近い。使ったら、きっと僕の脳内のディラックの海が刺激されて、よくわからんキャラになってしまうに決まっている。

 名前をつけるのは難しい。
 友人とか元恋人が多い人ほど、こういうの、困るんだろうなぁ……。

 僕、友人とか元恋人、ほとんどいなくてよかった。
 

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